あの日…
はてなインターネット文学賞「記憶に残っている、あの日」
あの日は、雨の日だった。
じめじめとした校舎と勉強漬けの日々に私は嫌気がさしていた。
授業が終わりみんなが帰る中、私は1人図書室で勉強していた。
私は人見知りで勉強ばかりしていたためか友達が1人もいなかった。
『今日も勉強か...』
そう思ってがむしゃらに問題を解いていると後ろから肩を叩かれた。
その子の名前は加奈(偽名)。
加奈は、人懐っこくてみんなに好かれている人気者だった。
「ねえねえ、何してるの?」
『…勉強…』
「そっか〜、すごいねっ。いつも学年1位取ってるじゃん」
『そんなことないよ、加奈ちゃんも頑張ったら余裕だよ。』
「えへへ、そうかなぁ」
加奈は、こんな可愛い顔なんてあるの?と言えるくらい可愛い笑顔を見せた。
「その本好きなの?」
加奈は机の上に置いてあった私の小説を指差して言った。
『うん。この本大好きなんだ。作者の物語の書き方が好き。この本知ってるの?』
「うん!私もその本大好き。今も持ってるよ。ほら!」
『ほんとだ。』
私は初めて趣味が合い、嬉しさが込み上げてきた。
帰り道その小説の会話で盛り上がっていた時、私は勇気を出して言った。
『私ね、人見知りで友達がいないの。お願い、友達になって。』
「全然いいよっ」
あの日初めて友達ができた。